話し方一つで

常日頃から言っていたというのです

話し方一つで、状況が一変するということを経験された方、いらっしゃるでしょうか。たとえば、こんな話があります。ある会社に、大変ご立腹された様子の男性のお客様が入ってこられました。そして、応接室のソファにでんと座り込んで怒り心頭という感じだったのです。 そこで、苦情受付の係りの担当者が応接室に入っていき、開口一番、「ようこそおいでくださいました」と言ったのです。すると、その男性の態度が急に変わりました。 頑なな雰囲気がにわかに柔和になり、その苦情受付の担当者に事の次第を感情的にならずに、きちんと説明をされました。その結果、会社に対して何らかの責任を問う、とか、倍賞を求める、とか、そういったひどい結果にはならずに、穏便にその場が収まったといいます。 その苦情受付担当者は、別にそのときばかり「ようこそおいでくださいました」と言ったのではありませんでした。自分のところにわざわざ来てくれるお客様。そのお客様に対して、まずはご足労をねぎらい、わが社のことでここまで来てくれるお客様に対しての感謝もこめて、「ようこそおいでくださいました」という言葉を、常日頃から言っていたというのです。ですから、この大変に立腹している男性の心にも、ごく自然に「ようこそおいでくださいました」がすっと入っていったのでしょう。もしも、とってつけたような言い方であれば、皮肉と受け取られてしまい、ますます火に油を注ぎかねないところだったのです。